シャント管理について
シャントとは動脈と静脈を吻合したもので、大きく分けると自己血管と人工血管の2種類があります。透析はシャントから血流をとり、不要な老廃物を取り除く治療であることから、透析患者さんにとって、シャントの状態は透析の質に直結するといえます。
具体的にいうと、シャントの血管が狭窄して透析の血流が不足してしまうと、取り除く老廃物が不十分になる可能性があります。また、それだけではなく、狭窄したシャント血管が進行すると、血管閉塞を起こし、シャントから透析が継続できなくなるリスクもあります。閉塞した場合は、シャントの再手術が必要になる場合もあり、身体に負担がかかります。当院では通常の透析時にシャントの異常がないか、シャントトラブルスコアとシャントエコーを用いて、シャントの異常の早期発見に努めております。
シャントトラブルスコア
シャントトラブルスコアとは、シャントの脱血不良や、狭窄音、止血時間の延長などの項目を点数付したもので、患者様のシャントの状態を評価するものです。定期的にスコアをつけることで、シャントの状態の変化を発見します。
シャントエコー
超音波診断装置を2019年にCanonのハイエンド機種である、Aplio a450シリーズに更新しました。精細に血管の状態を評価することが可能です。表在用、心臓用、腹部用のプローベを採用し、シャントの血流評価と形態評価を行っております。シャント狭窄、血流量の低下を起こし、透析に支障をきたす場合には、近隣の総合病院に紹介し、シャントPTAによるカテーテル治療を行っております。
シャントPTA
当院ではシャント血管が狭窄し血流量の低下がみられる場合には、院内の血管造影室でシャントPTAによる治療を行うことが可能です。具体的な手順としては、血管内に造影剤を投与し、シャント血管の走行や狭窄部位を確認します。バルーンカテーテルを狭窄した血管内に進めて、拡張することによって治療を行います。治療後、再度血管造影を行い、狭窄部位が改善したかを確認して治療を終了します。狭窄した血管に対して治療を行うことでシャント血管の血流が向上し、透析の効率も改善します。